日本政府の核政策に関する要請書

内閣総理大臣 安倍晋三殿

 

   日本政府の核政策に関する要請書

   米の核兵器先制不使用を実現させ核兵器禁止条約制定への貢献を求める

 

広島で核兵器廃絶のために取り組む市民組織として、日本の核政策に関し次のように要望します。

米紙ワシントン・ポストなどの報道によると、米オバマ大統領が核政策の見直しとして核兵器の先制不使用宣言を意図していることに対し、安倍首相が反対を表明しているということですが、これは被爆国としてあるまじきことです。

ヒロシマのみならず、世界中に疑惑と不信感をもたらす恥ずべきことと考えます。

核兵器の使用によってもたらされた未曾有の非人道的破壊を体験したヒロシマ・ナガサキはいかなる理由があろうとも核兵器の存在・使用を許すことはできません。

報道では「北朝鮮への核抑止力が弱まる」などを理由としていますが、これは日本政府の安全保障政策が核抑止力に依存したものであることを表しています。

オバマ米大統領の広島訪問に同行して慰霊碑前で読み上げた「核兵器のない世界を必ず実現する」というメッセージや8・6式典での自らの発言と、現実にとっている核政策との矛盾を露呈するものです。

せめてもの核先制不使用をという動きに抵抗することは、漸進的、段階的な核軍縮をと主張してきている日本政府自身の主張にも矛盾することです。

 

先の国連公開作業部会でも核兵器禁止条約の制定による核兵器廃絶の実現をという圧倒的な多数の国々による国際的な潮流に対し、日本政府が「時期尚早」「保有国と非保有国の溝を深める」云々と主張したあげく棄権するという態度もまた広島のみならず世界の不信、失望を招いています。

唯一の戦争被爆国として、秋の国連総会において提起される公開作業部会の報告に賛同し、2016年から核兵器禁止条約の制定に向けた議論を開始しようとする動きを先導することこそが核兵器廃絶を願う世界の人々の信頼を回復する道です。

 

世界に衝撃を与えている被爆国日本の「核先制不使用」反対の姿勢は、現に48トンに上るプルトニゥ-ムを保有し更に核燃料サイクル政策の維持により、日本の核兵器保有への疑念を国際社会により一層もたらしています。

 

日本政府安倍政権に求めます。

米の核兵器先制不使用宣言に反対しないこと。

秋の国連総会において、国連公開作業部会から提案される核兵器禁止条約制定のための

2016年議論開始を妨害することなく被爆国として先導すること。

備蓄プルトニュームを廃棄し、核燃料サイクル政策の維持によるプルトニュームの増産計画をやめること。

 

以上、核兵器の比類なき非人道性を体験したヒロシマから訴えます。

 

2016年8月26日

 

核兵器廃絶を求めるヒロシマの会

Hiroshima Alliance for Nuclear Weapons Abolition (HANWA)

共同代表  青木克明  足立修一  森瀧春子

 

事務局:〒730-0013広島市中区八丁堀5-22

メゾン京口門404号室 足立・西法律事務所

(TEL)082-211-3342

(Eメール)  hanwa(@)e-hanwa.org

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