5月 172016
 

アメリカ合衆国バラック・オバマ大統領殿

広島訪問にあたっての要請書

 核兵器廃絶をめざすヒロシマの会

 Hiroshima Alliance for Nuclear Weapons Abolition

 

オバマ大統領閣下が主要7カ国(G7)首脳会議(伊勢志摩サミット)の機会に広島を訪問されるにあたって、私たち核兵器廃絶をめざして取り組む広島市民は次のように要望します。

71年前の米国による広島及び長崎へのウラニューム及びプルトニウム原爆の投下はその年の末までに20数万人の命を奪いさらに毎年数千人の‘遅れた原爆死’を今に至るも尚もたらしています。生き残った被爆者も家族を奪われ健康と生活を破壊され、次世代の遺伝子損傷への不安など心身の重荷を背負わされてきました。

被爆者はその未曾有の非人間的悲惨の極地の体験から、核兵器が類を見ない非人道的兵器であることを実感し『核と人類は共存できない』という認識を持つに至りました。71年間その体験を語り続け、世界に核兵器廃絶を訴えてきました。

しかし、米ロをはじめとする9カ国が核兵器をいまだに保持し続け、核抑止力を国是としています。核軍縮は進展するどころか、保有国は臨界前核実験など核兵器の性能の高度化を進めています。一方、核保有国は増大してきました。被爆国である日本政府でさえ、「憲法9条は一切の核兵器の保有および使用を禁止しているわけではない」という閣議決定をしています。実際にプルトニウムを47トン保有し、さらに核燃料サイクルを維持し潜在的核保有国となっています。

オバマ大統領は、2009年のプラハ演説で「核なき世界を」とアピールしましたが、その中で「核兵器を唯一使用した核保有国として行動する道義的責任がある」と述べる一方で「核兵器が世界に存在する限り自国が核兵器を手放すことはない」とも述べています。その矛盾がその後7年間の行動に現れ、ヨーロッパへのミサイル防衛システムの導入などロシアへの挑発となり核軍縮交渉は停滞し、依然として核兵器の性能は高度化されていく状態となっています。

私たちが望むのは、オバマ大統領自身が抱える矛盾、‘核なき世界を’と‘核抑止力依存’を、広島訪問によって克服することです。原爆資料館や被爆者の証言に直に接することによって、原子爆弾投下がもたらした無辜の市民への無差別大量虐殺の実態を直視し、核兵器がいかなる理由によっても肯定されるものでなく、人類の存続のためには直ちに廃絶されるべき非人道的なものであることを広島から世界に宣言してください。

核兵器を使用し、比類なき大量虐殺とそれに続く放射能被害による苦痛を強制した当事国の大統領として、原爆投下が絶対的な過ちであったことを認め、まず原爆死没者と苦難を生き抜いてきた被爆者に謝罪してください。それは、核なき世界を求める道を真実のものにするためには欠かせない道程だと私たち広島市民は信じます。核兵器を根底から否定することなしに‘核なき世界’の実現はあり得ません。

国連における核軍縮作業部会で法的禁止への論議が進んでいますが、米国など核保有国の不参加は間違いです。米国の核の傘による核抑止力に頼る政策をとる日本政府などが、核保有国と非保有国の分断になるなどと主張して核保有国を代弁して核兵器の法的禁止の論議に反対している現状に対して、私たち核兵器廃絶を願う市民は憤りを覚えます。米国が作業部会に参加し、最大の核保有国の大統領として、人類の生存に責任を持ち、核兵器禁止の先頭に立ってください。

世界の多数の国々から、また世界の民衆から沸き起こっている核廃絶への強い意志のうねり、すなわち核兵器を非人道的なものとして法的に禁止する核兵器禁止条約への世界的潮流こそが現実的な‘核なき世界’への道であると確信を持って広島の地から発信してください。

戦争放棄、戦力不保持、交戦権の否認を定めた日本国憲法第9条は核兵器廃絶と戦争の根絶を求める広島市民の心のよりどころです。3月末に日本政府は、自衛隊が世界中で米軍と一体となって武力行使ができる安全保障法制を施行しました。これは憲法9条の否定であり、大統領の広島訪問が、安保法制による日米同盟強化を示すパフォーマンスに利用されることを私たちは絶対に認めることはできません。軍事同盟ではなく、平和友好を基軸とする日米関係の一歩となるよう希望します。

アウシュビッツとヒロシマ、ナガサキ、日本の侵略戦争による南京大虐殺記念博物館などの残虐で非人道的な人間の‘しわざ’の負の歴史遺産は、その場に立ち実感することで人類の生きるべき真の道を私たちに照らし出しています。

オバマ大統領のヒロシマ体験がそのようなものになることを願っています。

 2016年5月16日

  核兵器廃絶をめざすヒロシマの会

  共同代表  青木克明  足立修一  森瀧春子

 事務局:〒730-0005広島市中区西白島18-4城北ビル2F足立修一法律事務所

(TEL)082-211-3342 (Eメール) hanwa@e-hanwa.org


核兵器廃絶をめざすヒロシマの会(HANWA)は、2016年5月16日記者会見を行い、

次の方々に要請文を発送します。

ホワイトハウス、

在日米大使館

外務省、

内閣府、

広島県、

広島市

現在コメント投稿は停止しております。