2月 172013
 

北朝鮮核実験強行に抗議する声明

2月12日午前11時57分頃、北朝鮮が3回目の核実験を実施したことに対して、私たち「核兵器廃絶をめざすヒロシマの会」は強く抗議します。
 
あらためて言うまでもないことですが、核兵器の使用が、強烈な光線、熱風と高レベルの放射線を放出することによって、多くの人間を無差別に殺傷するのみならず、多種多様の生きものを同時に抹殺し、由々しい環境破壊をもたらすことは、1945年8月に米国が広島・長崎に投下した原爆によって周知のところです。さらには、戦後これまでに米露英仏中などの核保有国が世界各地で2千回以上行ってきた核実験においても、実験地近辺の多くの住民が放射能汚染によって引き起こされた疾病に苦しみ亡くなっていき、今なお病気に苦しんでいること、実験地となった土地や海が高レベルの放射能に汚染され続けていることもよく知られていることです 。
このように、あらゆる生きものの無差別大量殺傷と環境破壊をもたらす核兵器の使用が、既存の国際法に明らかに違反する、「人道に対する罪」という犯罪行為であることも、あらためて言うまでもないことです。
  北朝鮮は、今回の核実験も米国に対する核抑止力の保持を目指すものであって、自衛のための重要な戦略の一つであると主張することでしょう。
しかしながら、北朝鮮に限らず、「核抑止力」の保持は、実際に核兵器を使う行為ではないことから、犯罪行為ではなく、政策ないしは軍事戦略の一つであるという誤った判断が一般的になっています。実際には、「核抑止力」は、明らかにニュルンベルグ憲章・第6条「戦争犯罪」(a)「平和に対する罪」に当たる重大な犯罪行為です。「平和に対する罪」とは、「侵略戦争あるいは国際条約、協定、誓約に違反する戦争の計画、準備、開始、あるいは遂行、またこれらの各行為のいずれかの達成を目的とする共通の計画あるいは共同謀議への関与」と定義されています。「核抑止力」とは、核兵器を準備、保有することで、状況しだいによってはその核兵器を使ってある特定の国家ないし集団を攻撃し、多数の人間を無差別に殺傷することで、「戦争犯罪」や「人道に対する罪」を犯すという犯罪行為の計画と準備を行っているということです。さらに、そうした計画や準備を行っているという事実を、常時、明示して威嚇行為を行っていることなのです。核兵器の設計、研究、実験、生産、製造、制作、輸送、配備、導入、保存、備蓄、販売、購入なども、明らかに「国際条約、協定、誓約に違反する戦争の計画と準備」です。したがって、「核抑止力」保持は「平和に対する罪」であると同時に、「核抑止力」による威嚇は、国連憲章・第2条・第4項「武力による威嚇」の禁止にも明らかに違反しています。1996年の国際司法裁判所ICJの『核兵器の威嚇・使用の合法性に関する勧告的意見』も、その第47項において、「想定される武力の使用それ自体が違法ならば、明示されたそれを使用する用意は、国連憲章・第2条・第4項で禁じられた威嚇である」と明記しています。
 
核兵器の保有と使用だけではなく、核兵器使用を最終目的とする核実験もまた、国際法上のみならず、倫理的な観点からも決して許されるべき行為ではありません。どのような理由があるにせよ、私たち人間が、他の人間を一人たりとも殺傷する権利がないことは明らかです。ましてや大量虐殺を行うことが、倫理的に許されるはずがありません。私たち人間は、これまでの長い人類史において、様々な技術を開発し、文明をめざましく、あるいは異常と称すべきほどまでに発展させてきた一方で、地球上に生息する自分たち人類を平和的に生存させ、その他の多種多様な生命を維持する能力を、すさまじい勢いで低下させてきました。
戦争で同類の人間を数百万、数千万と殺し、他の多種多様の生きものも巻き添えにして殺すような生物は地球上に人間以外にいないのではないでしょうか。戦争以外では、核実験や原発事故でも同じように多くの同類と他の生物を殺傷しています。
人間の平和的生存能力と生命維持能力の両方の低下を最も顕著に且つ象徴的に表しているのが、核技術であると私たちは考えます。核兵器と核エネルギーの応用である原発の両方が、人類のみならず、地球上のあらゆる生きものの存続を脅かしていることは、広島・長崎への原爆投下とチェルノブイリ・福島の原発事故の経験から、もはや疑う余地がないことは明らかです。
 したがって、私たちは、このような恥ずべき能力低下をさらに促進させ、地球滅亡への道を一層速めるような核実験はただちに停止し、保有している核兵器も早急に廃棄することを、北朝鮮に強く要求します。
 
しかし同時に、私たちは、北朝鮮を核兵器開発へと追い込んできた米日韓のこれまでの軍事外交政策にたいしても強く抗議します。韓国ならびに沖縄に強大な米軍を常駐させ、毎年、北朝鮮を仮想敵国とした軍事共同訓練を行い、北朝鮮への核抑止力どころか核先制攻撃をも辞さないという強圧的な態度をとり続けることで、東アジア全域の安全保障を脅かし続けているこれら三ヶ国政府にも、現在の北朝鮮をめぐる深刻な状況を作り出した責任が多いにあることは明らかです。したがって、私たちは、米国に対しても核抑止力保持そのものが犯罪行為であり、2千発以上もの核兵器を保有していること自体が狂気と称すべき事態であると強く批難します。

核兵器を非合法化しようとする国際的潮流に対し、核抑止力と相容れないとして背を向ける日本政府に対しても強く抗議します。
さらに、日本政府は、福島原発事故という未曾有の核事故を引き起こし、多数の国民を被爆させ、広域にわたって自然環境を放射能で汚染させたにもかかわらず、原発を再稼働させ、失敗の連続にもかかわらず、膨大な費用を使って核燃料再処理施設をなおもがむしゃらに推進しています。これは核兵器製造能力を維持する目的をも持つものであり、他国への脅威と緊張をもたらすもので強く抗議します。
 
北朝鮮が真に民主主義的な国家を打ち立て、引いては東アジア全域の平和構築に貢献できるようになるためには、北朝鮮自体が軍事力縮小を強く推進することで近隣諸国の市民の信頼を獲得することが、最も有効な近道であると私たちは提言します。同時に、北朝鮮に隣接する中露韓の各国、ならびに日米両国に対しても、東アジアに真の平和をもたらすことができる方策は、犯罪行為である核抑止力の維持・強化などではなく、逆に、核廃絶という人道的で倫理的な行動で北朝鮮ならびに各国市民の信頼を確保する以外にはないと提言します。
 
 2013年2月13日
核兵器廃絶をめざすヒロシマの会(HANWA)
Hiroshima Alliance for Nuclear Weapons Abolition
【共同代表】 青木克明 田中利幸 森瀧春子

【事務局】
〒730-0005
広島市中区西白島18-4城北ビル2F  足立修一法律事務所内
電話:082-211-3342
Eメール hanwa@e-hanwa.org

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