10月 312004
 

既報のように、熊本市の小学校で教諭が、小学校4年生の児童に対し、課外授業の時間に原爆被爆の写真パネルを使って、「肝試し」をしていた事実が明らかになりました。
 「核兵器廃絶をめざすヒロシマの会」として、これが決して特異な問題ではなく、現在の日本の教育現場の実態、平和教育、人権教育が教育の場から消えていっている現状への警鐘として大な問題性があるということから、下記のように声明を出しました。
 この声明を熊本市教育委員会、市教委を通じて当該学校、熊本県教育委員会、政府文部科学省、広島県教育委員会、広島市教育委員会、熊本県報道機関、などに送付しました。熊本県の報道機関からの反応にちょっと安堵しています。
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熊本市小学校での「被爆者の写真」による「肝試し」についての声明
 核兵器廃絶をめざすヒロシマの会
私たちは、広島の地において、59年前の被爆体験を固く心に刻みながら核兵器廃絶と恒久平和を切望して、全力を注いで生きている市民のグループです。昨日、熊本市内の市立小学校で、校内の天体観測会「月と星の観察会」で「肝試しをしよう」と、教諭が児童にケロイドのある原爆被爆者の写真を見せていて、校長らが謝罪していたという記事を見て、原爆被害者の写真パネルを、「教育者」が教育現場で「肝試し」に使うという事態の発生に深い悲しみと憤りを禁じることができません。
当該教諭や学校、統轄教育行政機関に強く抗議します。
広島や長崎への原爆投下によってひき起こされた数十万の人々の死、59年にわたる後障害による苦しみを体験したヒロシマ・ナガサキは、この事態を看過することはできません。
この事件は、多くの被爆者に、被爆後体験させられたケロイドなど後障害への心無い差別などから舐めた辛酸をを生々しく思い出させ、遺族には面影も残さず高熱に焼き殺されていった肉親への無念の思いを新たに抱かせる許されないものです。
核戦争がもたらしたこの上ない非人間的悲惨の体験から、ヒロシマ・ナガサキは、苦しみや憎しみを乗り越えて被爆体験を世界に伝え、核兵器廃絶のために努力してきました。
被爆者を中心とするそのような努力が教育の場で根底から覆されるような、非人間的な「教育」が繰り返されてはなりません。
命の重みや平和の大切さを教えるべき教育の場であってはならないことが起こってしまった今回のことは、単なる特異な事件としてではなく、学校教育の現在のありようが深刻な状況にあることへの警鐘と思わざるを得ません。学校現場から平和教育、人権教育が追いやられていっている実態があります。
平和教育、人権教育が教育の根底におかれ実践されていたら、このような事件は起こりえないことだと信じます。熊本市で生じた、人間教育の場に許されない事件を告発するとともに、再発を招くことの無いよう教育現場および教育行政機関が、被爆体験の継承にもとずく核兵器廃絶と恒久平和を実現する平和への意志を培う人間教育に力を入れられるよう、あらためて強く要請するものです。
2004年10月27日 
核兵器廃絶をめざすヒロシマの会
   共同代表  岡本 三夫  河合 護郎   森滝春子
    連絡先  〒730-0012 広島市中区上八丁堀8-23 広島県生協連合気付け
          Tel 082-502-3850 Fax 082-502-3860


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熊本日日新聞(0410.25)
「肝試し」に被爆者の写真 熊本の教諭
  保護者抗議 校長ら謝罪
 熊本市内の市立小学校の理科教諭(59)が校内の天体観測会で「肝試し」をしよう」と、怖がらせる目的で四年生児童にケロイドのある原爆被爆者の写真を見せていたことが二十五日、分かった。中にはショックで泣き出す児童もいたという。同校の校長と理科教諭、担任は二十五日になって保護者宅を回り、謝罪した。
 同市教育委員会によると、写真を見せたのは十八日午後六時半から同校であった「月と星の観察会」。児童九人が参加、男性の理科教諭が一人で指導にあたった。当初は運動場で星座を観察する予定だったが、台風接近で急きょ、教室でのVTR観賞会に変更。児童に天体のVTRを約一時間見せた後、「肝試しをしよう」と個人で所有していた原爆に関する写真十二枚(縦四十五センチ、横六十センチ)を見せた。背中にケロイドのある長崎原爆被爆者や黒焦げになった遺体の写真もあったという。
 二十日、保護者とPTA役員が「教育的立場で指導すべきものを肝試しに利用するとはどういうことか」と学校側に抗議して発覚。学校から市教委に報告はなく、匿名の電話を受けた市教委が二十五日、同校に問い合わせ確認した。
 理科教諭は「肝試しは思いつきでやった。原爆の写真を子どもを怖がらせるための材料として使ったことは大変軽率な行為で深く反省している」と話しているという。
 同市教委指導課の村上京子課長は「あってはならないことで大変遺憾。事実を厳しく受け止め、教師一人ひとりの人権意識の確立に向け指導を徹底させたい」と話している。

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